ビーオースタジオビジネス対談では、様々な業界からゲストをお招きし、各業界についてのお話やご自身の経験からビジネスに関するメッセージをいただく企画です。
INTERVIEW NO.6 11月掲載
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- 福井博夫
- 1962年東京大学法学部卒業。大蔵省入省後、外為法改正企画官、国庫課長を経て、1983年アジア開発銀行予算人事局長、1987年神戸税関長、 1990年国税庁次長、1991年IMF(国際通貨基金)理事、1994年世界銀行副総裁、1997年ハーバード・ビジネス・スクールAMP(150)修了、1998年日本大学総合研究所教授、1999年日本大学グローバル・ビジネス研究科教授、2004年同客員教授、会社役員・顧問、2008年福井総合事務所代表
- >>今回の対談内容
- 第6回目となる今回の対談は、元世界銀行副総裁の福井博夫様をお迎えしました。国際機関での豊富な経験を元に、今年(2009年)8月に上梓されたばかりの単行本『国際機関の勤務から見えたこと―進化するベスト・プラクティス』で提言されている、国際化していく日本の企業における組織や個人の今後のあり方について伺いました。
組織と個人の関係を考え直す
個人は組織に属するのか、個人が組織を作るのか
[川添]
まず今回、福井さんが『国際機関の勤務から見えたこと』というタイトルで本を出された理由をお伺いしたいのですが。
[福井氏]
私が世界銀行に勤務していた時、ちょうど総裁が変わりました。新しい総裁は、世界銀行を変えていこうと、非常に強いリーダーシップを発揮したのですが、その際に「あるべき組織とはどういうものか」と世銀の内部で広汎な議論が行われました。
私が感心しましたのは、議論に一切のタブーがないことですね。みんなが自由に議論をする。自由な議論の中で何が良いのだろうか、ということを探っていく。非常に活発な議論が行われました。
私は当時、副総裁をやっていたので色々その議論に参加したのですが、私自身が議論の中で多くを学びました。日本に帰ってきてから当時を振り返って、組織とかビジネスの面で、これからの日本に非常に参考になるのではないかと思ったのが、本にまとめてみた基本的な動機です。
また、ここ最近のトピックスで、例えばサブプライムローン問題の後、野村ホールディングス(以下HD)がリーマンブラザーズのアジア部門を買い取った、というような記事が出ていますね。なかなか大きな問題だなと感じました。従来のように土地を買ったりホテルを買ったりというのとは相当に違いますから、野村HDはこれからどういうふうに優秀な人たちを活用していくのか、あるいは引き留めるのか、という問題に直面しますよね。野村HDは進んでいると思いますが、私の海外での経験からいくと、日本の組織原理というのはかなり違います。これらは新しい動きであると同時に、難しい問題だと思って見ていました。
そうするうちに、野村證券が人事評価を成果主義に切り替えるとか、他にも企業買収関係で報酬について訴訟が起きたとか、新聞情報に出てきました。一筋縄ではいかない難しい問題に、これからも日本企業は直面していくのだろうと思います。 さらに付け加えれば、サブプライムローン以降、アメリカの銀行がおかしくなりましたね。
[川添]
ちょうど一年前ですね。
[福井氏]
ええ。政府の融資があったり管理下に入ったりしながらも、管理者には高いボーナスが出た。一般的な日本の感じ方として、ボーナスが高すぎるんじゃないか、少し返すか減額したらどうか、モラルの欠如ではないかという批判も出ました。しかし、報酬というのは契約で決まっているものですから、払わざるを得ない。そう簡単な問題ではないし、契約上の事柄だというならば、あまり感情的に反応するのはやや問題とおもいます。このような反応を見ていると、はたして国際社会で日本人は通用していけるのかという疑問もありました。
このような一般的なバックグラウンドと、最近のトピックスとを合わせて考えた結果、私の経験が何らかの議論のキッカケとなり、あるいは役に立つことがあるのではないかと思ったのが、本を書いた動機ということになります。
[川添]
福井さんがこれまで活躍してこられた国際機関の仕組みと、今の日本の社会や企業体の仕組みが違うのではないか、というところからなのですね。それでは、違いといってもたくさんあるでしょうが、福井さんが考える「一番の違い」をひと言でいうと何だと思われますか。
[福井氏]
私はこの本を単なる自分の経験談ではなく、整理して、体系化して、できれば理論化してプレゼンテーションしたいと考えたのですが、あえてひと言で言うなら、「組織」と「個人」の関係を考え直してみてはどうか、ということに尽きますね。
[川添]
組織と個人の関係性をどう考えるか、ということですか。
[福井氏]
考え方はいろいろありますから、一律の回答があるとは思わないですけれども、一般論ですと、日本では「個人」は「組織」に属するというのが伝統的ですよね。しかし、逆に「組織」とは「個人」が作るものであり、そこを結び付けているのが「契約」である、ということが、この本からは読み取っていただけると思います。
この考え方の違い、アプローチの違いに集約されるのではないかと思いますね。


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