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ビジネス対談 様々な業界をリードするゲストをお招きしお話をうかがいます

ビー・オー・スタジオビジネス対談では、様々な業界からゲストをお招きし、各業界についてのお話やご自身の経験からビジネスに関するメッセージをいただく企画です。

日本人は真のディスカッションを学ぶべき

ディスカッションは知的な価値のぶつけあい

[福井氏]

少し横道に逸れますけれども、私が一つ感じますのは、日本人は議論、今言ったようなディスカッションにもう少し慣れていったほうがいいのではないかということです。

福井氏対談中画像

日本ではディスカッションというと会議ですよね。みんなで集まって結論を出すことをディスカッションと捉えやすい。もちろん、会議というのは短時間になるべく効率的に結論を出すのが良いわけですから、ディスカッションに結論は必要です。しかし、世界銀行とか国際的な社会に目を広げますと、ディスカッションはもう少し広く捉えるのがいい。ディスカッションは必ずしも結論を出すために行うものではない、という認識は重要だと思います。

では、何のためにディスカッションが必要なのかというと、これはみんながそれぞれ持っている価値を披露しあう、という点です。そしてお互いに切磋琢磨し、レベルアップを図っていく。そういうところにも、ディスカッションの大きな意味があるんです。ですから、ディスカッションで発言をしないのは、自分に披露すべき価値がないということになる。 ディスカッションでは互いに活発に意見を出す、その代わりに価値の相対性を認める。誰の意見でも、絶対的に正しいということはない。必ずしも権威者や社長の意見が正しいということではない。みんなに自分の価値を披露して、お互いのレベルアップをはかっていく、そういうディスカッションに日本はまだ慣れていないし、もう少し慣れていく努力が必要なのではないかと思います。

また、「空気が読めない」というのは日本独特のように思われているかもしれませんが、外国にも「空気」はあるのです。「根回し」というのもありますが、外国でもあらかじめ「根回し」はしますよ。根回しをして、大体の結論を出しておく、この点は日本に限ったことではないです。しかし、今のようなディスカッションを基本において考えてみると、根回しをして結論は見えていても、やはりディスカッションは行われるし、重要なんです。なぜかというと、結論に至ったプロセスにおいて、自分がどういう貢献をしたのか、賛成したのか反対したのかということを、きちんと明らかにしておく。これが、自分の価値を見せるために、非常に重要なんですね。

[川添]

なるほど。自分の意見をきちんと表現しておくことが価値の証明になり、それを共有することが全体のレベルアップには欠かせない、ということですね。

[福井氏]

ええ。根回しがあって、結論が決まっていても、しっかりと意見を出しておく。会議というのは根回しで決まっていて、短時間で終わるのが良いじゃないかという見方もあるかもしれないけれども、そういう会議だけではないんです。根回しがあってもディスカッションが行われる、これはちょっと日本の文化にはないですから、戸惑いますけれども、重要なことだと思います。

同時に私が思うのは、これはだんだん日本にとって必要になってくると。どうしてかというと、株主訴訟とか、製品欠陥で訴訟が起きるとか、難しい時代に入ってきているわけです。そうすると、今までのように「空気がそうだったから良いんだ」というわけにはなかなかいかない。賛成したのか反対したのか、きちんとしておかないと、今度は自分が危ないということにもなってきますから。やはりこれからの日本を具体的に考えてゆくと、従来のように、あまり「空気に流される」とか「根回しに埋没する」とならないほうが、身の安全だというふうにもなるのではないでしょうか。

自分の身の安全は別にしても、それぞれの人が持っている価値を披露して、お互いを高めてゆく、そういう機能がディスカッションにはあるということをもう一度認識して、ディスカッションを活発にしてゆくことは、とても大切だと思いますね。

対談中画像

[川添]

違う意見の者同士がディスカッションの場では意見を言い合っても、別に人間として相容れないということではなく、それはそれで異なる意見として共有し、受け入れるというのはすごく大切だと思います。ただ、日本人の場合ですと、意見が違った時に感情が入ってしまって、考えイコール人間になってしまう傾向がある気がするのですが、そのあたりはどう思われますか。

[福井氏]

それはまったく同感で、日本だとディスカッションに感情移入を伴います。これはなぜかと私もいろいろ考えてみたのですが、やはり日本人は、例えば私とあなたがこうして対談をする場合、「相手の年齢はいくつだろうか、年上だろうか」「どこか有名な企業の社長だろうか」、あるいは「大学の先輩だろうか」と、こういう要素が必ずくっついてくるんですね。必ず、先輩後輩というようなことが絡む。そうすると、反対意見を出すと「なんだ、あいつは生意気だ」となって、つい感情移入を伴ってしまう。

でも、本当の意味での知的なディスカッションとはそういうものではないんです。お互いの持っている価値を披露しあう時に、肩書きや年齢は全て取り外して、その人の持っている知的な価値をぶつけ合っていく。そして、その中から良いものを探してゆくというのがディスカッションなんですよ。ですから、この習慣を日本人はもう少し学ばなくてはいけないんじゃないかと思います。

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