ビーオースタジオビジネス対談では、様々な業界からゲストをお招きし、各業界についてのお話やご自身の経験からビジネスに関するメッセージをいただく企画です。
INTERVIEW NO.5 4月掲載
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- 渡辺光子
株式会社メセナ青山・青山環境デザイン研究所 代表取締役
NPO法人福祉・住環境人材開発センター 理事長
株式会社渡辺光子総合企画 代表取締役 - 東京都社会福祉審議会 審議委員
東京商工会議所女性会 顧問
社団法人 長寿社会文化協会 常任理事
日本ケアマネジメント学会 評議委員
福祉住環境コーディネーター協会 理事 他
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- >>今回の対談内容
- 第5回目の今回の対談では、高齢社会の中で求められている人材育成や、福祉、医療、介護、住環境に関わる社内外での活動を展開されている株式会社メセナ・青山環境デザイン研究所の代表取締役所長 渡辺光子様をお招きして、介護含めた今後の住環境における課題についてお話を伺いました。
福祉と建築の融合が、日本を救う
高齢社会向けて、幸せに生活できる環境づくり
[川添]
本日お伺いしたかったのは、福祉と住環境についてなのですが、最近では老後の不安を抱えている方々がたくさんいらっしゃいます。 少子化という問題にもつながっていると思います。
例えば、コムスンの問題や年金の問題、住宅関係でも耐震偽装の問題など2005年から話題になりましたが、ようは将来に対して基本的生活に関する不安というものが世の中にすごく蔓延していて、課題がたくさんあるように思います。
そんな中、渡辺所長がこれまで活動されてきて、例えば福祉と住環境をご専門とされていますが、今の現状をどのような見られて入るのか、ということからお話を伺いたいと思います。
福祉というところから言うと直近ではコムスンの問題もありましたけれど、今の日本の制度含めてどういう現状になっているのでしょうか。
[渡辺氏]
まず、福祉という言葉からは、高齢者、介護をイメージし、施しであるとか、困っている人に対して何かをしてあげるというような言葉のイメージですよね。でも、辞書や広辞苑にも出ていますが、「福祉」という意味は、「幸せになる」、「命の繁栄」など深く広い意味があります。
また、イギリスの建築家の言葉に、「福祉とは、住宅にはじまり住宅に終わる」という言葉があり、住宅が生活の基盤であるという考え方、幸せな生活をしていくためには住宅の有様や住環境がいかに大切かを示したひとつの言葉だと思います。そうゆうことから「福祉住環境コーディネーター」という名称にしました。
福祉の先進国といえば、デンマークやスウェーデンなどヨーロッパの国々が上げられますね。福祉施設の発祥地は、イギリスなんです。当時は、高齢者が利用するというよりも困窮している人たちや労働者を収容する施設というところから始まったと言われています
そんな意味からか日本でも「福祉」と言えば、困っている人に援助してあげてるというような考え方や施策が、つい最近まであったわけですね。これが2000年4月に介護保険が施行されたことで、福祉サービスを国民が選んで利用できる仕組みになり大きく変わりました。
現在の日本は、少子高齢化が世界に類を見ない速さで進んでいます。1970年に日本は総人口の7%が高齢者という「高齢化社会」に入り、1994年に総人口の14%が高齢者となる「高齢社会」まで、たった24年しかありませんでした。そのため福祉施策などさまざまな課題を今でも引きずっています。ちなみにフランスは約115年の時間をかけて「高齢化社会」から「高齢社会」になっていますから社会の基盤整備や高齢化対策に時間がかけられたわけです。
[川添]
なるほど。日本は「化」は取れて「高齢社会」だということですね。
[渡辺氏]
出生率から高齢化率は出てくるわけですから、日本ももっと早くから対策が検討されていれば、現在のような状態は少しは、避けられたのではないかと思います。
これは私見ですが、大きな要因としてはあの1980年代後半から始まったバブル時代、日本が経済大国をめざした施策に重きをおいたからではないかと思います。これは、国だけではなく国民もバブリーな生活をしていたように思います。
そんな状況のなかでは、将来確実にくるであろう高齢社会に向けて、福祉政策であったり社会保障というどちらかというと暗いイメージの事柄ついては後回しとなり、しっかりした長期的な計画や実践が進まなかったのではないかと思います。
しかし現実的には、大変早いスピードで少子高齢化が進み、どんどんお金もかかっています。その対策に追われているのが現状だろうと思います。将来の子供たちのためにも国民、国、行政、企業も含めて抜本的な対策と知恵を出し合い地域社会の中で、老若男女が協同で事を推進していく時期に来ているのではないかと思います。
[川添]
福祉も民営化が進んでいますよね。
[渡辺氏]
地域というのは、地域の特性があるのだから、行政と企業そしてもちろん住民などが一体となって、NPOでも結構なのですが、福祉や介護を考えていかないと駄目だと思います。
地域には、地域、地域の特性があるのだから、自治体と企業そしてNPO法人や住民などが一体となって福祉や介護を考えていかないと駄目だと思います。


[川添]
おっしゃられるお話で言いますと、民営化で利益を追求しながら、事業もやっていくということに関しては限界があって、社会的なインフラとして地域で自治体も民間事業者と一緒になって制度なり、サービスなどの仕組みを作っていかなければいけないっていうようなお考えということですか。
[渡辺氏]
そうですね。いわゆる地域のコミュニティ全体のなかで企業(事業者)、団体、行政、住民が連携して介護を支えるという考え方ですね。
[川添]
それでは、人材育成についてはどのようにお考えでしょうか。
[渡辺氏]
私が、もともと技術者として企業に勤務後、建築系の専門学校で15年間校長職に従事したのち、現在の会社を起こしました。社会人対象に福祉・バリアフリー建築に関連する基礎教育や専門職の育成をしながら、「福祉住環境コーディネーター」の開発を始めたのが、1991年からです。
日本の住宅は高齢者にはやさしいとは言いがたく段差などバリアが多い住宅がほとんどだと言われていました。福祉や介護と建築を横串をさしたような内容でカリキュラムを組み立て試行錯誤しながら社会人教育を続けながら1995年にはテキストも出来上がり本格的な実践教育が始まったのです。
そして、1999年に東京商工会議所主催による「福祉住環境コーディネーター3級」第1回検定試験が行われました。そのあくる年の2000年に介護保険がスタートしたことで。受験者が全国に広がりました。その理由として介護保険制度の補助事業に住宅改修が盛り込まれたからです。
住宅改修では20万円の補助が、福祉用具のレンタルでは10万円の補助が受けられるようになったのです。利用者は1割を負担すれば住宅改修が出来るという制度です。そんなことで建築系はもちろんですが、ホームヘルパーなど福祉系、医療系の専門職の受験者が圧倒的に増えました。
但し、補助を受けるには介護保険の認定を受ける必要があり、理由書が必要になります。その理由書は介護や医療の専門職で介護支援専門員(ケアマネジャー)が書くという決まりになっています。
しかし、介護士とか看護師さんは、建築のことは勉強してきているわけではないので、この制度施行当時は住宅改修の補助事業が進まない状態でした。
[川添]
それぞれ専門分野が違うわけですね。
[渡辺氏]
そうです。住宅に問題がありそうだが、わからないから手をつけないというようなことで、当初は予算が余っていたりしていたんですね。
厚労省の方からの呼びかけもあり、「福祉住環境コーディネーター2級」以上の検定合格者を住宅改修を行う場合の理由書が書ける専門職として活用するようにと市区町村に通達が出されました。
ただし、介護保険制度は市区町村の運営ですから、全部の市区町村が採用するとは限らないですね。しかし、そんな背景があり福祉住環境コーディネーターの検定試験受験者が急速に広がっていったわけです。
それともうひとつは、高齢になって住宅が住みにくくなった、危ないと思うとことがあるなど感じていても一般の生活者の人たちが住宅に対するは知識や使い勝手、ましてや高齢になった場合にどんなふうに暮らすかなどについては、あんまり考えてこなかったし認識していないということが住宅事故の多発に繋がっていることがあげられますね。
[川添]
それはどういうところでの認識なのでしょうか。
[渡辺氏]
まず、日本の義務教育に住宅や住環境、暮らし方などについてはカリキュラムに入っていないということが、一番大きな問題だと思います。 欧米先進国では、小学生や中学生時代に住宅が造られるまでプロセスやインテリアデザイン、家具の配置や色の使い方、そして住まい方などについての学習が義務教育に入っているんです。
[川添]
どんな学習が必要なんでしょう。
[渡辺氏]
日本では、「家庭科」という科目がありますが、いまだに「家」のこと「庭」のこと教えていないと思いますが。
私は、住文化といわれるくらいですから、毎日の生活の場であり生活の基盤である住宅、住環境、インテリアデザイン、色彩などについて子供のころに楽しい授業が入っていると大人になってからの住宅についての考え方や住まいを造る楽しみも、ずいぶん違うのではないかと思います。ぜひ小学校高学年ぐらいの時期に学べる環境を作るべきであると思いますね。
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