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  4. 介護を含めた今後の住環境における課題

ビジネス対談 様々な業界をリードするゲストをお招きしお話をうかがいます

ビーオースタジオビジネス対談では、様々な業界からゲストをお招きし、各業界についてのお話やご自身の経験からビジネスに関するメッセージをいただく企画です。

福祉と建築の融合が、日本を救う

高齢社会向けて、幸せに生活できる環境づくり

[川添]

住宅のお話にシフトしていきますが、住宅だとどうしても新築がほしいとか、若い人なんか、最近中古住宅を購入してリフォームしたいなどの傾向もあるとか思うのですが、どこの会社さんもバリアフリーなんてうたってますよね。

ところがそのバリアフリーを見てみれば、単純に段差が少ないだけとか、手すりやスペースなど必要だと思われるところになかったりもして、あまり考えられていないような会社さんも多いように感じています。それと会社さんによっては、住環境に関する知識レベルが低いようにも思うのですが、そのあたりって、どのようにご覧になられてますか?

[渡辺氏]

これは、住宅でもマンションでも同じなのですが、どういう人たちがそこで生活をするのか、いわゆる生活者の視点での設計プランが必要になると思います。事業や採算面だけで建物を造っていけばハード面ではよくても生活や暮らしといったソフト面が欠けてしまうものが多くなるのではでないでしょうか。

バリアフリーといえば、最初から段差をなくし、手すりを付ければよいとなりますが、若いうちからあちこちに手すりが付けば、それはうっとうしいものになります。しかし、将来的に考えて、いざというときに備えて、手すりが付けられるように、下地をちゃんと入れておくとか、洗面所とトイレなどの間仕切りが、後から外せたりとか隠し味的に考えておくことが大切ですね。

新しいマンションや施設などができた時に、是非見てくださいとか言われるので、見に行きますとかなり立派なものを拝見するのですが、一見豪華で華やかですが、高齢者の方にこの環境が合うだろうか疑問を感じるような時があります。

家具についても日本人のサイズには合わないものが置かれていたりします。また、豪華に見せるために、玄関先に大理石を使ったりしていて、雨の日などにはすべって転倒事故が起こりそうなところが多いですね。素材についてもバリアフリーという考え方が必要だと思います。

それから導線ですね。トイレに行く時の導線やサイン計画(認知症高齢者にも単純で理解できる)を分かりやすくするなどの配慮が必要だと思います。

これから団塊の世代があと5年ぐらいで大量に65歳以上の高齢者グループに入っていきます。そういう人たちの住まいをどう考えるかということは非常に重要です。血圧が高いなどいろいろな疾病を持つ人も多くなります。あるいは親の介護の面倒を見るということになる世代です。

対談中画像

[川添]

ようは何年後まで見据えてそれを設計するかというふになったときに、その時を想像するレベルもそうですし、何よりも住む人たちが将来をどう考えているかというところを明確に持っていないと、作る人たちはそこの住む人のライフスタイルにあった設計をするわけで、結構難しいですよね。 そういう意味で住む人と作る人のコミュニケーションも大事ということになりますね。

[渡辺氏]

ですから私は、建築系の人も福祉住環境コーディネーターは、ぜひ2級以上取ってほしいのです。大学なども研究室は別としても、通常の建築学科では建築分野だけ専門教育とデザインとなっていて、高齢者の特性や身体状況がどうなるか、などのソフト面の教育が欠けていたりします。

渡辺氏対談中画像

高齢者が同居する場合とか、将来を見越した生活を考えた場合に建築設計者は、ユーザーによっては、福祉・介護、医療と連携が必要になります。そこで暮らす人に視点をあて、住む人とも充分話し合いをしながら設計計画を立てることが重要になります。もちろんユーザーとのコミュニケーションは欠かせません。

しかし、今までの古い住宅とか特にマンションですが、浴室やトイレに入ろうと思えば段差があるでしょ。床下に配管が通っていて、直しようがないということがあって、マンションのリフォームは、特に高齢者対応ということになると実務経験がないとなかなか難しいのが現状です。

[川添]

素朴な疑問で恐縮ですが、福祉住環境コーディネーターの1級、2級、3級とでは、何がどれくらい違うのでしょうか?

[渡辺氏]

3級は、学生さんでも主婦の人、普通の会社員など誰でもが常識的に知っているおくべき介護・福祉制度・住宅、まちづくりなどの基礎的な内容になります。

2級は、介護保険の住宅改修というところに絞り込んだ形になります。
例えば、介護が必要になったが、家の中は何とか歩けるという場合には、的確に手すりを付ける、転倒しないように小さな段差でも取り除くなど介護保険を利用した住宅改修や福祉用具の選択などに対応できる内容となります。特に要介護になる前の予防介護のための住環境整備が大切であるということについても入っています。

1級は、例えば街づくりやコミュティづくり、社員寮などをグループホームに改造したり、バリアフリー新築住宅、小規模施設を新築したりするときに必要な知識や技術などの内容になっています。建築の要素がかなり多く、図面が読めないと回答できないという難しい内容になっています。なお、2級や3級は誰でも受けられるのですが、1級は2級に合格していないと受けることができません。

勉強していない工務店さんが工事をすると、L型手すり一つとっても、入り口の方に縦てすりがこなければいけないのが後ろの方に反対に付いていたりだとか、トイレに座った状態で肩より後ろに縦手すりが付いていても立ち上がれないですよね。

[川添]

確かにそうですね。
重心がどうやっても前に行きませんね。

[渡辺氏]

ちょっと先方に手すりがあって、初めて力を入れて立ち上がれることができるわけです。ですから手すりがどこでも着いていればいいというものではなく高さや位置が、その人に合っているかどうか、生活導線(移動動作)に合わせて的確に取り付けられているかなど、確認しながら付けないと折角付いても使えないということになります。でもこのようなトラブルは多いんですよ。

ただ、少なくとも2級を勉強していれば、建物の考え方だとか含めて提案ができるわけです。そういうことが、建築の専門学校でも大学でもカリキュラムに入ってなかったので、介護保険など世の中のニーズと合致したところもあり、かなり広がったんだと思います。

[川添]

ちなみに検定になるのにどれぐらい時間がかかったんですか?

[渡辺氏]

当時、東京商工会議所の担当役員の方が、母親のことで介護経験を持たれていました。住宅を改修した際に、あまりにも分からない専門職だったらしく「福祉住環境コーディネーター」の必要性に理解があった人だったもので検定試験に取り上げていただけたわけです。

その後、1年足らずで3級検定試験がスタートしました。時代のニーズに合ったのでしょうか全国から受験のために東京にこられました。今は全国の商工会議所で年2回試験が実施されています。
今までに100万人が受験し、約30万人の合格者がいます。業界ですばらしい活動をしている人たちもたくさんいます。

[川添]

川添対談中画像

うかがっていると福祉というのは単純に介護とかそういうことだけではなくて、生活をいかにより良く過ごすか、という意味が含まれていますよね。
でも日本ではそういう意味よりも、福祉といえば老人介護的な、そういうイメージというのが強いと思います。
その辺が何かをやるときに、躊躇させる要因の一つのような気がして、あまりいいイメージが世の中にはないと思うんです。そこって大きな課題だと思うんですけど、どのように思われますか。

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