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- 介護を含めた今後の住環境における課題
ビー・オー・スタジオビジネス対談では、様々な業界からゲストをお招きし、各業界についてのお話やご自身の経験からビジネスに関するメッセージをいただく企画です。
福祉と建築の融合が、日本を救う
高齢社会向けて、幸せに生活できる環境づくり
[渡辺氏]
おっしゃる通りでして、東京商工会議所の方々からも、私は介護の専門家のように思われていて、何かあればその時はお願いします!って言われるのですが、福祉の下に住環境というのが付くんですが、といつも言っています。(笑)
福祉住環境コーディネーターというのは、おかげさまで相当広がってきていて、その中身についても教育機関、大学などでも講義が始まってきたりしています。
ただすごく残念なのは、一時大学でも専門学校でも若い人たちがこれからは福祉の時代だと考えて、福祉系の大学に行く、専門学校に行く、それで専門職になるんだ、という人達はいるのですが、あまりにも働く人たちの給料が安すぎる。雇用条件が悪いなどから介護現場から離れる人たちが増えていることが心配ですね。

行政の審議会などで、介護系や福祉系・医療も含めて、専門職の質の向上をはかるというような施策が出されていますが今それどころではないというのが現状じゃないでしょうか。
もちろん専門職の質を高めるということは、非常に大切なことです。ですが専門職をどのように確保していくのか、雇用条件も含めて対応策を考えていかなければならない時期だろうと思います。高齢化は、2050年まで続きますから、本気で福祉・介護問題の施策、福祉現場の構造改革をしないと大変なことになりますね。
[渡辺氏]
今、国民一人ひとりが親あるいは祖父母の介護問題ということになった時にどうなるんだという不安感、いわゆる働き手の不安感というのが増しています。
そうなると大事なのは政治、行政と国民との信頼関係になるのですが、それがうまく機能していないように思います。
これは大問題です。よくデンマークとかスウェーデンなど福祉事例としてよく出てきますが、デンマークの議員さんは、朝7時~9時までに議会をやって、昼間は自分の仕事をして、また18時以降に議員のするべき仕事をしている。政治はボランティア活動として行っていると言われています。
税金が40%以上とられているけれども教育費も無料ですし、医療費も無料、老後は安心、これは国民と政治家との信頼関係があるから成り立っているように思います。
たしかに国の大きさや人口の違いがありますから単純に比較できないところもありますが、国と国民がお互いの信頼関係の構築に時間をかけてしてきたことは見習うべきであると思います。
[川添]
たしかにそうですね。
政治家を見ていても、日本の将来ビジョンというのは見えてこないですからね。
[渡辺氏]
最近将来に対して不満や不安を感じている人が多いですね。高齢の方はもちろん若い人の中にも先が見えないと言う人が増えていると思います。

しかし、これは私の考え方ですが、自分の人生ですから自分のライフデザインの中で、いかに心身(健康管理)の自立はもちろん経済的にも自立していくかにかかっていると思います。それは、できるだけ早い(若い)うちに自分らしい生き方やライフプランを考えていくことが大切かなと思います。
話は変わりますが、施策として急がなければならないことに認知症問題があります。現在、在宅でケアを受けている約70%の高齢者が認知症であると言われ約170万人ともいわれています。介護にあたる家族が、うつ病になってしまうなど家族全体の問題であり、社会問題となっています。
[川添]
今、高額の介護施設も満杯らしいですね。
[渡辺氏]
それは首都圏の話しですね。地方は施設ができ過ぎて余っているところもあり格差が出てきています。施設という建物はあっても、そこで働く専門職の不足と質の問題が挙げられています。今まで認知症に関する専門教育を受けてきていない人たちがほとんどであるからです。
この分野は身体介護のみではなく心のケアいわゆるメンタルケアの知識や技術が必要です。しかし、この部分の教育はほとんどされないで介護現場に排出されてきているという人たちが多いということです。この分野の専門教育が急務であると思いますね。
[川添]

最後になりますが、渡辺所長が考えられていることに、専門教育を行い将来的にどう自立させるかということがあると思うのですが、今後は住む当事者の人たちがそういうことを考えたり、環境をデザインする意識が必要であり、その中で介護問題が入ってきたりした時にしっかり対応できることも役割の1つとして考える。
そして、基本姿勢は高齢になっても、たとえ認知症になってもより良い生活を支援していくために、専門職の育成と、それをどう広めていくかということを使命と考えられているように感じますがいかがでしょうか。
[渡辺氏]
そうですね。私の母は亡くなるまでの2年間、初期ではありますが認知症だったのですね。当時の私は、認知症ケアについて深い知識や技術を持っていたわけではありませんでした。母が亡くなってから少しでも知識やコミュ二ケーション能力があったならもう少しやさしくできたのにということがきっかけで認知症高齢者のケアについて調査・研究に入り、専門職の育成に取り組んできました。
たまたまオーストラリアの施設を視察するプロジェクトに参加したことがきっかけで、認知症ケアの専門職としてダイバージョナル・セラピスト、日本語で直訳すると“気晴らし療法士”という専門職がいるということを知りました。介護・看護の専門職がさらに研修を受け施設に配置されているということでした。約30年前からそういう専門職がいて、施設に2人以上置くということが行政で決まっていて専門職として社会的にも認められています。
オーストラリアでは、大学でもダイバージョナル・セラピスト学科が設置されていますし、各州に協会もできています。身体介護ということだけではなくて、その人の生活の質、認知症になっても最後までその人らしい人生を歩んでもらうにはどういうケアが必要か、というようなことの教育、育成に取り組んでいますね。
最初は、体を作って身体ケアをしましょうというものが、今度は福祉用具を使いましょう、道具を使いましょう、というようになってきて、次は総合的に心のケアまで行う専門職の育成ということがどうしても欠かせなくなっています。色んなタイプの認知症がありますし、非常に難しいんです。
認知症ケアに大事なことは、その人がどういう風にどんな人生を歩んできたのだろうか、今何をもとめているのだろうか、好きなことは、得意なことは、趣味はなど引き出しながら本気で向き合うケアが求められていると思います。

まずは、認知症高齢者になってもその人らしい暮らしや人生が送れるように生活をサポート出来る専門職の育成です。そのために厚生労働省などから補助金をいただき5年間調査・研究、モデル研修などを行ってきました。
今年度は、介護・医療に関わる専門職のスキルを上げるために本格的に専門教育(ダイバージョナル・セラピスト)に入ります。また、団塊の世代をはじめ一般の人たち、介護に当たっている家族を対象に認知症ケアの基礎講座も計画していきます。
講座終了後、家族のケアに生かしたり、地域社会でボランティアとして活動できるように基礎的な知識や技術を学んでいける環境を作りたいと考えています。
合わせて認定制度を立ち上げる計画をしていきます。ケアする側もされる側も楽しくなければならないし、それぞれの人が自分のできることで役割がうまれ元気になり、生きがいに繋がるように教育を通して私の役割を果たせればうれしいです。
もう一つ広げていきたい活動として、「福祉と住まい」をテーマに特に小学生高学年か中学生くらいに教科書として使ってもらえるような本をまとめたいと思っています
高齢者や障害者の人たちをどのように理解し、接していくか、また高齢になっても住み続けられるバリアフリーな住宅とはどのように作られていくかなど演習を通して教える。
また、介護を地域で支えるということはどんなことかなど、施設などのボランテイア実習や、住宅のプランニング演習、色彩のこと、模型作りなど組み入れながら子供のうちに体験できる学習に役立つカリキュラムと教材、教科書開発ができれば啓発活動に繋がるのではないかと考えています。
最後にこの5月末に発売(全国の図書館向け)しますが、「団塊世代の暮らしと住まい」シリーズ全3巻のDVDを企画制作しましたのでご紹介したいと思います。(※下部参照)
長々と申し上げてきましたが、今後ますます高齢化が進む社会において、わたし達一人ひとりに何ができるのか、国の役割は、企業の役割はどこにあるのか、高齢になっても自立したその人らしい暮らしが成り立つような社会基盤の整備とは、そこに関わるどのような人材が求められているのかなどさまざまな課題が山積みですが、私自身、今までの経験やノウハウ、ネットワークを生かしながらできる事から、少しだけゆとりを持って、自分をいたわりながら、楽しく自分らしく生きていきたいと思っています。
[川添]
具体的なお話を色々とありがとうございました。


あなたは自分らしいライフスタイルをどのように過ごしたいと考えていますか?そろそろ親の介護が気になる50代、自分の健康が不安になる60代・・・・。
それでも、自分らしく、豊かに楽しく健康で人生を謳歌したい。そのためには、暮らしの不安や疑問を早目に解決しておくことが大切です。
このDVDは、団塊の世代、シニア世代の方々の暮らしに合った住まいの工夫、情報、活動など事例を交えてお伝えします
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「自分らしく暮らすためのライフスタイルのススメ」
- ①日本の社会的背景と生活の基盤である住宅の問題
- これからの日本の高齢化率や介護問題および住宅事故につながる日本の住宅の特徴など現実をグラフなどを使い認識をしてもらう(要介護の親を持つようになる)。
- ②アクテイブな団塊世代・シニア世代の暮らしと活動
- 千葉の大網に取材に行き定年後、コミュ二ティ・レストランでいきいきと活躍する団塊世代やシニア世代と中高年の女性たちの様子、自然食で久々においしい昼食・デザート・コーヒーをいただきました。企業の社会(地域)貢献の一環として地域の老若男女、子育て女性などが自由に出入りできるコミュ二ティの拠点となっている素敵な広い空間を提供している女性社長に取材。そこで、学童保育やコンサート、ヨガの教室、絵画を教える中高年の人たちの活動が行われている様子。
- ③地域の福祉サービスを有効に活用して自立した暮らし
- 都内に住み、週1日は水泳に、もう1日は油絵を描きに絵画教室に通う今年90歳になる女性、少し前に転んで怪我をしたり、体調に不安を感じるようになり相談があり、介護保険の認定を受け福祉サービスを利用することになったプロセス、膝を痛めて杖を使っているのに手すりが全然ついていないため、福祉住環境コーデイネーターに相談、住宅改修に取りか かり、玄関をはじめ、トイレや廊下など適切に手すりを設置する。改修前と改修後の様子、安心した暮らしができ喜んでいる様子を取材する。
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「自分らしく暮らすための情報・制度の活用と住まい」
- ①介護保険制度の基礎知識と福祉サービスの利用方法
- 団塊の世代は要介護の親を抱え始めている人たちがたくさんいます。いざという時にあわてないためにも知っておいたほうが良いと思われる相談窓口、制度の仕組みや利用する流れ、サービスの種類などを紹介。
- ②高齢期の暮らしにあった住まいを探したい、住み替えたい
- 高齢の一人暮らしが大変多くなっている現状の中で、現在の住宅に住み続けるのか、高齢者賃貸マンションに住み替えるのか、将来の介護問題も考えて有料老人ホームなど施設に入居するには住まいのあり方が問われています。そのような場合にどこに相談に行けばよいのかなど相談窓口の紹介。定年後東京から大網方面に住み替えた3組夫婦に取材、その理由や感想を聞く。
- ③地域への情報発信と福祉コミュ二ティづくり
- 神奈川県伊勢原市にある青山環境デザイン研究所の卒業生福井氏が運営するコミュ二ティ・カフェ、福祉塾、介護教室、高齢者賃貸マンションを取材。コミュ二ティ・カフェは地域の拠点となっており、福祉住環境コーディネーター検定合格者のスキルアップ研修や活動を支援する場となっている。おいしい食事とコーヒーが飲める。また、今話題の多くのテレビに出演している古武術介護の第一人者(岡田慎一郎氏)の介護教室が開催されていて遠くは新潟から習いに来ていた。介護するが側の腰痛など体を痛めない介護技術の指導風景を取材。
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「高齢になっても住み続けられる住宅改修のポイント」
- ①日本の住環境の現状と住宅内事故の多発
- 日本の住宅は、段差が多い、トイレや浴室が介護が必要になった家族がいる場合に介助スペース狭く介護しにくいなど住環境の特徴と留意点、改修後のメリットなどについての話。
- ②介護予防のための福祉住環境整備(住宅改修)のポイント
- 高齢者住宅改修、介護保険を利用した改修では、業界一の実務経験者である一級建築士の溝口千恵子氏を迎えて講義を収録する。住宅の場所別の改修事例(玄関、廊下、トイレ、浴室など)を通して改修ポイントを学ぶ即、実際に役に立つ内容となっている。
- ③転倒事故など住宅内事故を防ぐ工夫(住宅改修事例)
- 第一巻で紹介した90歳の女性の住宅改修を紹介、またそこに関わった「福祉住環境コーディネーターの役割」について解説している。

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