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バックナンバー web2.0時代の企業戦略実践ノウハウ
VOL.005 「インターネットIR戦略のススメ(その2)」
●個人投資家向け情報とは?
前回は、第三者機関による企業のIRサイト評価についてお話し、今後のインターネットIR戦略は、個人投資家向け情報が重要であることをお伝えしました。
少し古い記事にはなりますが、日本経済新聞(2004/7/2)によれば、2004年1-6月における個人の株式売買代金比率は約32%に達しており、バブル期(90年下期は33.5%)以来の高水準を記録したようです。
これまでは、証券会社の営業マンが、必死で個人投資家に営業をかけ、コミュニケーションを図り、株式投資を押し進めていたのが、インターネットのインフラが整い、松井証券に代表されるようにオンライン証券がサービスを提供したことにより、株式投資に対する敷居がずいぶん低くなっています。
ミニ株取引など、規制緩和によるところも大きく、2009年には株券電子化を控え、益々その傾向は強まると考えられます。
- 手間がかからず簡単
- よけいなコミュニケーションの削減
- 株価含めた情報入手スピードの高速化
- 購入におけるアクションスピードの高速化
- 自己判断のしやすさ
環境としては、株式取引を行いやすい環境になってきており、個人投資家が増える条件が整ってきています。
東京証券取引所の「主体別持ち株比率の推移」によると、持ち株比率の伸び率で言うと、外国人投資家の持ち株比率が急速に上がってはきていますが、外国からの特に敵対的買収対策を考えると、企業としても国内に安定株主を増やしたいというのは、至極当然のことだと思います。
実際の企業で株式所有者別分布を見てみますと、

<クリックで図が拡大されます>
松下電器産業
(2007年3月31日現在)
個人等 19.8%

<クリックで図が拡大されます>日立製作所
(2007年3月31日現在)
個人・その他 28.09%

<クリックで図が拡大されます>トヨタ自動車
(2006年3月31日現在)
個人・その他 19.9%
と、なっており、外国法人や金融機関などの機関投資家などの割合比率に迫る勢いです。
では、その個人投資家とは、どのような人たちのことを言うのでしょうか。
電通が行った「個人投資家に関する投資性向と情報性向」調査によると、タイプを5つに分類しています。
- 1.のびざかり投資家
- 投資経験が浅く、身近な企業への投資意向が強く、情報獲得にも熱心。
- 2.とりあえず投資家
- 80年代後半のバブル期やITバブル期には積極的に株式投資を行ったものの、現在では保有している株を、いわば“塩漬け状態”にしている。
- 3.復活投資家
- 近年の株価の上昇の中で再び投資意欲を回復し、短期的な値動きで売買を行う。
- 4.ゲーム感覚投資家
- オンライン取引の充実によってゲーム感覚で短期売買を行い、特に企業との接点は求めない。
- 5.セミプロ投資家
- 投資経験、知識が豊富で、投資企業に対しても情報公開などを積極的に求めることで企業と関与していく。
この中で、調査結果にも記述されていますが、特に注目されてるのは、1.のびざかり投資家になります。
最近では、20代~30代、そして女性が中心となってくる層であり、この層の取り込みは、今後企業にとっては最大のテーマとなります。
次に、個人投資家はどのような視点で投資企業を選んでいるのか?
調査結果では、
1位 購入に必要な価格水準(80.3%)
2位 業績・財務予想(74.1%)
3位 一定期間で見たときの株価水準(72.9%)
4位 知名度(72.7%)
5位 新製品・新事業などの情報(69.0%)
6位 ブランドや企業イメージ(59.9%)
と出ており、1~3位は、投資する側からすると、投資判断要素として当たり前な項目のため、あまり参考にはなりませんが、4位~6位の
「知名度(72.7%)」
「新製品・新事業などの情報(69.0%)」
「ブランドや企業イメージ」59.9%
は、注目に値します。
業績を伸ばして情報公開するというのは企業活動としては当たり前なことです。
しかし、知名度やブランドイメージは、まさにイメージ作りが課題となりますし、新製品新事業などの情報というのは、情報の鮮度と新しい情報なだけに、わかりやすさがキーになると言えます。
さて、上記のような個人投資家の傾向を踏まえて、「個人投資家向け情報」をしっかり公開できているのでしょうか?
結論を言いますと、個人投資家向け情報とは、
“その企業がどんな会社で、その事業を簡単に理解することができ、財務関連情報が簡潔にまとめられていて、かつどこに向かっていくのかわかる情報”
のことです。
個人投資家の重要ターゲットとして、「のびざかり投資家」をあげました。
のびざかり投資家は、これまでの投資家と比べて、年齢層も若いです。
もちろん主婦もいますが、女性も男性とまったく同様にバリバリ働いている世代でもあります。
彼らは、日常忙しくなかなか時間が取れません。
時間がない中でも、勉強熱心で情報獲得に余念がありません。なおかつ、投資経験が浅いので、あまり専門的なところまで調査して投資の判断基準にすることができない層でもあります。
そのような個人投資家に対して、詳しく細かい財務情報がずらりと並べていたり、どんな企業なのかをわかってもらうために何ページもの資料を提供しても吸収することができないのです。
そこでおすすめしているのが、紙で言うところの見開き1ページで、財務含めた企業情報を公開する資料を作ってください、ということです。
大企業になればなるほど、見開き1枚じゃスペースが少なすぎるよ、と最初はおっしゃいます。
しかし、まずは収めるつもりで作成してみてください。
見開き1ページに収めるとなると、各カテゴリーにおいて一番載せたい情報しか載せることができません。
なおかつスペースの問題で、それを簡潔に記述せざるをえません。
一番載せたい情報が簡潔に1ページにまとまることになるので、情報の受け手側にとっては、1枚をさっとみただけでどんな会社でどんな業績で、何が新しい情報なのかをキャッチすることができます。
企業の内容を把握するということは、そのまま投資活動につながります。
よくわからない会社に投資はしないのです。
BtoCを行っている企業は、マス広告や商品などからすでに知名度の高い会社が多いのですが、BtoBのビジネスを行っている企業は、一般の方からすると知る機会が少ないです。
BtoBビジネスの企業は、商品自体難しいものもあり、一般の方からは特に理解に苦しむものも少なくありません。
だからこそ、簡単に分かりやすく、簡潔に情報を伝える必要があるのです。
前回紹介した、第三者機関から評価されている企業は、このあたりがよく出来ている企業が多いのです。
やはり評価されるのには、ちゃんとした理由があります。
なおかつインターネット上のIR活動なら、いつも情報を最新にしていられます。
アニュアルレポートなら年1回の発行ですが、財務情報なら4半期決算ですぐに掲載することもできます。
個人投資家向けなので、単純に既存コンテンツの抜粋でいいだろう、などと安易に考えないでください。
まさに“個人投資家向け”の情報として掲載することにより、知名度があがりブランド構築につながり、最終的には投資活動につながっていくことになります。
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