インフルエンサーマーケティングはB2Cだけ?海外の成功事例から読み解くB2Bへの活用法
デジタルマーケティングにおいてSNS運用との併用があたりまえになっていく中で、「インフルエンサー」の存在価値は日々重みを増しています。マーケターの間では「インフルエンサー」を無視したBuzzマーケティングや、市場トレンドの把握はもはや不可能、という認識が浸透し、強い影響力を持つインフルエンサーの囲い込みと、キャッチ&リリースが繰り返されています。
インフルエンサーに費やす金額は、2020年には1,000億ドル規模に膨れ上がるという予測
2~3年前から「インフルエンサー採用」という言葉が生まれ、2018年春先にある企業の新卒採用枠で、1投稿あたり「300いいね」を獲得できた人には、責任のあるポジションを与える、という応募資格が設けられたことが話題となりました。
インフルエンサーマーケティングの拡大は、日本に限った現象ではありません。市場規模の大きい中国、アメリカではインフルエンサー自らが、直接企業にブランドのアンバサダーとして名乗りを上げる、また逆に企業はリードナーチャリングと並行してインフルエンサーの抽出とアプローチにコストを割いています。背景にあるのは、インフルエンサーの「顧客目線」が見込み顧客を後押しするというマーケターの見解です。
米広告業界を代表する団体のアソシエーション・オブ・ナショナル・アドバタイザーズ(ANA)とPQメディアによる調査では、名だたるブランドがインフルエンサーマーケティングに費やした金額は2016年度で810億ドル、日本円に換算すると約8兆8,621億円(2018年5月の為替レート)。これが2020年には1,010億ドルに達すると予測しています。その金額のうち企業が持ち出す分、市場から収集する分、そして影響力の高い消費者(インフルエンサー、またの名をクリエーター)に消尽したコストといった内訳については言及されていません。しかしモバイルファーストの時世や、オンライン広告の不審によるブランド毀損のリスクを考えると、今後ますますインフルエンサー(コンテントクリエーター)が、マーケティングプログラムに不可欠な要素になっていくことは間違いないのです。
B2Bの事例、プッシュでもプルでも届かないときこそSNSを活用
企業間取引にSNSが介在するケースは稀かもしれませんが、サービスの採用を検討する前段階では個人消費者同様に、レビューやFAQに目を通し、導入シミュレーションをするものと考えます。サービスの導入を決める意思決定者に、インフルエンサーのメンションおよびアクションをどう響かせ、購入に導かせるか疑問でしたが、参考になる事例を米メディアのマーケティングランドが掲載していたので紹介しましょう。
- Nielsen Catalina Solutionsが実施した調査報告によると、DSP(ディスプレイ)広告とインフルエンサーによるコンテンツ投稿を比較。12カ月経過後に測定した結果、インフルエンサーの投稿の方が、DSPより11倍も高いROIを提供した。
- 米サンフランシスコをベースにインフルエンサーの行動分析ツールを提供するLinqiaのホワイトペーパーには、マーケターのうち92%がインフルエンサーマーケティングを行い、それが効果的であったと回答したことが掲載されている。
- マーケターの71%が、現在進行中のブランドとその伝道師によるインフルエンシャル(影響力のある)な投稿が効果的であることを、AltimeterとTapinfluenceの合同調査が明らかにしている。
1-9-90ルールって?セオリーはSNSマーケティングにも応用できる
今から10年以上前、英『ガーディアン』紙の記者チャールズ・アーサーの提唱した「1-9-90」のルールについて、まずはおさらい。オンラインで繋がる100人のメンバーがいるとして、1人が制作者であったとき、10人はコメントや意見をする。残りの89人は傍観者という。この法則を持ち出し、インフルエンサーマーケティングにあてはめると、以下のようになります。
- 1%インフルエンサー:オピニオンリーダーであり、コンテンツの制作者。かつての1-9-90ルールと違うのは、発信するだけでなく、コンサルタントやアナリストとしての顔を持つこと。
- 9%プロモーター:書き込めるところがあれば、レビューを残し、一方投稿には積極的にコメントを上げる。ときに炎上の火種になることも。
- 90%の市場:新製品、レビューの閲覧など、コンテンツに目の触れる機会を持つ人たち。
1-9-90モデルはどのブランドに採用することも可能ですが、どういったコミュニティ、グループで展開するかが重要になります。ニッチなコミュニティ、専門性の高いグループ内で集客を行うための発信をする場合には「マイクロインフルエンサー」の登用も計画に入れ、実施してはいかがでしょう。
B2B向けのSNSマーケティング、チャネルはどこがいい?
B2C向けだったらInstagramやLine、Facebookを思い浮かべますが、対企業に自社のサービスや商品をPRするとなると、プラットフォームはどこがいいのか?
フォーチューン誌のCEOはじめ、企業の役員クラスに直接コンタクトのとれるLinkedInが、B2B向けの投稿には一番適していると、米RivalIQは伝えています。
そして意外(?)に、TwitterはB2Bに向きとも。発信はしなくてもフォローはしているといった、ビジネスリーダーの目に触れる機会が多いプラットフォームであることが理由です。
SNSマーケティングのソリューションを提供するGRINが、B2Bマーケティングで「インフルエンサー」を利用した成功事例を、自社のブログに掲載しています。その中から一例を紹介します。
ドイツに本社を置く、ヨーロッパ最大級のソフトウェア会社SAPは、インフルエンサーを使って自社のソリューションをどのように訴求したか。SAPはドイツで行われたイベントに5人のインフルエンサーを招待し、彼らに「eラーニング」「IoT」「データ解析」といったトピックスを与えて投稿をしてもらったところ、このイベントについてすべてのソーシャルメディアでメンションが急増。総メンション数の約50%がインフルエンサーの投稿でドライブしたことがわかりました。
次にフロリダで開かれたイベントに、SAPは11人のインフルエンサーを招き、Facebook上でライブビデオ配信しました。オンラインでライブ視聴するユーザー数が80,000-100,000に到達したといいます。
顧客との接点を増やしたい、ユーザー目線の意見を聞きたいとお考えなら、自社でソーシャルメディアの運営を試してみてはいかがでしょう。ビー・オー・スタジオではSNSに限らず、コンテンツプランニングの相談もお受けしています。詳しくはこちらへ。
※マイクロインフルエンサー:特定のジャンル、コミュニティで強い影響力を持つインフルエンサー。
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