レイジクリック、デッドクリックとは?ユーザーのセンチメントを理解するための指標
検索で着地した先で目的に到達できなかったとき、不満やストレスがたまりませんか?検索サイトよりアプリを使って「探す」、またはアプリのユーザーレコメンドから「選ぶ」ユーザーは幅広い年代で増えています。Googleが公開中の「アプリとWebの利用比較調査」を確認してわかったのは、「EC」「家具・家電」「銀行」「旅行サービス」の4カテゴリに限定しているとはいえ、アプリのみという利用者が少なくないことです。
アプリの使いやすさに慣れたユーザーからしてみたら、ページの読み込みに時間がかかったり、スクロール毎に広告が表示されたりするウェブページに不満をもつのは無理もないかもしれません。ウェブサイトをもっと使いやすく、満足してもらえるために制作側でできる改善案の指標に利用できるものにエンゲージメントとセンチメントがあります。
ウェブサイトのエンゲージメント
SNSのインサイトでおなじみの「エンゲージメント」が、Googleアナリティクス4 (以下GA4) では新しい指標として加わりました。GA4ではそれまでのページ単位の計測とは一転、ユーザー単位のアクティビティにフォーカスした分析を可能にしています。GA4のエンゲージメントからカスタマーストーリーをベースにマーケティング戦略を立てるといった使い方ができます。
SNSのエンゲージメントでは、ファンあるいはフォロワーの熱量の高さ、つながりの強さなどを数値で表します。GA4のエンゲージメントはアプリやウェブサイトで費やしたポジティブなユーザーの行動を時間やアクションで定義します。数値だけで示されるより、グラフやチャートがあった方が理解しやすい(※1)ことで、BIツールを連携させるケースが多いことでしょう。BIツールを使わずにエンゲージメントをヴィジュアライズしてくれるソフトウェアがマイクロソフトのクラリティです。
※1: 画像優位性効果 picture superiority effect
ユーザーのイライラ度を先頭にセンチメントを表示するヒートマップ
他のヒートマップ同様、クラリティもウェブサイトに訪れたユーザーのクリックアクションや閲覧している部分を色の濃淡で端的に示してくれます。無料であること、そしてユーザーアクティビティの「レコーディング」機能が備わっていることを利点に持ちます。
クラリティは、ブラウザのレンダリングからマウスの動き、クリック、スクロールといったユーザー インタラクションをキャプチャ、記録します。ちなみに情報を取得するコードはGitHubで公開され、誰でも入手可能となっています。
「センチメント」の測定
SNSのアナリティクスでポピュラーな「センチメント」(ネガポジ分析、感情分析)がクラリティではダッシュボードの「インサイト」のカードから確認できます。
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インサイトはマイクロソフトの解析技術をもとにデータ抽出しているとのこと。ユーザーのアクティビティをDeep AIおよび機械学習アルゴリズムを使って精査し、ほぼリアルタイムで表示します。
インサイトがわかると、どんなメリットがある?
これまで「滞在時間」が平均より長いことからユーザーは熟読していると報告していたページが、実は目的が見つかりにくい不親切な構造をしていたのかもしれません。ユーザーはフラストレーションを感じていたのかもしれません。それが同じ範囲で繰り返されるクリック、過剰なスクロールとしてインサイトに表れます。クリックやレコーディングを振り返ってみて判断がつかない場合はクラリティに標準で備わる「AIによる要約」機能を使うと、分析情報と原因、修正案を示してくれます。
イライラしたクリック (Rage clicks)
ユーザーが同じ範囲内で連続して素早く複数回クリックするとページビューまたはセッションに「レイジクリック」のフラグが立てられて、イライラしたクリックとしてマークされます。ユーザーがインタラクティブな要素 (アニメーション、ホバー効果、アコーディオン) を期待していた場合、レイジクリックはユーザーのフラストレーションを示す強力な指標となる可能性があります。
デッドクリック (Dead clicks)
デッドクリックは、ユーザーがページのどこかをクリックしたにもかかわらず反応が検出されなかった場合にフラグが立てられデッドクリックとしてマークされます。たとえば、一見クリッカブルに見える部分がクリックできなかった場合など誤解を招くUXです。さらに壊れた要素、遅延の大きいリクエストを含み、レイジクリック同様「デッドクリック」はUXの低下を示します。
過剰なスクロール (Excessive scrolling)
スクロール量が平均よりも多い場合に、そのセッションには「過剰なスクロール」のフラグが立てられます。過剰なスクロールはアクセスできない、イライラするUX、目的が見つけにくい、といったユーザーの不満を示している可能性があり、サイトを放棄する要因とも考えられます。
クイックバック (Quick backs)
クラリティでは定義されたしきい値(そのページの滞在時間)よりも短い時間でページ移動した場合にクイックバックを検出します。ただしこの指標は将来的には特定したサイトでのみ適応となる可能性があります。
ネガティブかポジティブか。ウェブサイトの改善に感情分析を参考にしてみる
ソーシャルメディアを中心に、感情分析はブランドやサービスの評価調査に積極的に用いられています。マイクロソフトのクラリティによってウェブサイトでもユーザーのイライラ度が明確に示されるようになり、マーケティング視点だけでなくサイト改善の意味においてもユーザーインサイトに注目が集まっています。UA (ユニバーサルアナリティクス) で計測していた時代であれば、ページの滞在時間が長いことは良しとされていましたが、画面を見ていない時間も含んでいました。そこでGA4では、ウェブページがフォーカス状態にあった時間の長さを「エンゲージメント」として示しています。
滞在時間が長かったのはセッションを放置していたから。あるいはページを熟読していたわけではなく、目的が見つけにくく迷いながらクリックしていたのかもしれません。
センチメントを表示するヒートマップはクラリティ以外にも多数存在します。
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Hotjar (ホットジャー) はヒートマップ、レコーディング、インサイトを表示するほか、クラリティには存在しないファネル分析が備わります。
インサイトの分析は、ウェブ制作と運用においてさまざまな気付きを与えてくれます。GA4や他のアナリティクスツールと併用してウェブサイトの改善、日々の運用に利用してみてはいかがでしょう。設定や操作に不安がございましたら、お気軽にビー・オー・スタジオにお声がけください。
ウェブサイトの現状に課題や改善の必要性をお考えのお客様にはビー・オー・スタジオがコンテンツの構造やデザイン、運用状況についてヒアリングを行った上で、対象のウェブサイトの調査・分析を行います。サイトのパフォーマンスをはじめアクセスログ解析、ヒューリスティック調査、ヒートマップ調査、SEO、そしてアクセシビリティチェックを行い、課題解決のための戦略を策定していきます。